掲載画像:ウィキペディア
第48回定期演奏会では「第1部・世界の川」と題して6つの川の情景を歌います。「ブンガワン・ソロ」はその中の1曲です。
「ブンガワン・ソロ」について
「どういう意味ですか」と中山先生に聞くと、「“ソロ河”のことでしょう。」「何か他には?」と私。「インターネットで調べてみたら?」でもインターネットをやらないのです。そこで図書館へ行きました。これはインドネシアの民謡で、ジャワ島を中央から北へ流れる「ソロ河」の意味でした。この河の中流では50万年程前にジャワ原人の化石が発見されています。15万年前も5万年前もソロ人と呼ばれる原人が発見され、河の沿岸で進化していたとみられます。豊かな植物や動物で恵まれた土地だったようです。「クラシック深夜便」という本の中に「ブンガワン・ソロの思い出」というのがありました。70年代〜80年代には「うたごえ運動」で取り上げられていたそうです。『第二次大戦中、東南アジアに進出した日本の軍人達が国内に伝えたといわれている。戦後は償いにインドネシアの学生を日本の大学へ留学させたことがある。その時の学生達が母国の歌として伝えた。教科書にも載っていた名曲。日本でいうと「荒城の月」や「故郷」のような歌ではないか。』と筆者は言っています。
どう歌ってよいか戸惑っていましたが、50万年以上も前からの悠久の流れをちょっと想像します。
作者グサンが1990年来日した時の録音(CD)が見つかりました。インドネシアの古い音楽の伝統を引き継いでいる曲で、グサンとそのバンドのメンバーは古都ソロの出身者。彼はその時すでに70代でしたが、「中心はあくまで歌である」この歌をとてもていねいに歌っています。日本では松田トシ、藤山一郎、美空ひばりなどの録音があります。原詞を田村史という人が訳しています。
2. 乾季には あなたの水は ほんの少し でも雨の季節には 水がはるかに溢れる
3. あなたは ソロに生まれる 幾千の山々に抱かれて そして水は はるかに流れ ついに海に至る
4. あそこに小舟が それは昔 商人たちがいつも乗っていた小舟だよ
藤山一郎と「ブンガワン・ソロ」なぜか?素朴で疑問ともつかない疑問がちょっとありました。
他の歌のことで藤山一郎についての資料を持って来たお仲間がいました。藤山一郎は1943年「南方慰問団」に参加してインドネシアに向い、状況が悪くなってからも再び訪れ、その時終戦を迎えて、独立したばかりのインドネシア共和国の捕虜となり、収容所を転々としたようです。ソロ河中流部の刑務所にも収容され、その時、インドネシアの歌を原地の人に聞かせたりしたとのこと。そのあとイギリス軍に引き渡され、アイルランドの歌などを兵士に聞かせてとても喜ばれた、などの体験談が資料に書かれていました。彼は「世界の愛唱歌」もその後吹き込んでいます。
思いの外、いろいろなことがわかり、少しは自分が納得して歌えるかなと思っています。
原詞が、すごくいいなあと思います。ご存知ない方にも少しは参考になりますか?(西谷)
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